乾くるみさんの「イニシエーション・ラブ」と歌野晶午さんの「葉桜の季節に君を想うということ」を、前後して読みました。
どちらも大好きな大どんでん返し系。結末は決して誰にも言わないで下さい、と言われてるミステリー小説です。
殊能将之さんの「ハサミ男」と並べられて、よくこの二つの小説の名前が上げられていたのを見てたので、「ハサミ男」愛好者としては、どこかでネタバレに遭遇して大変な事になってしまう(笑)その前に、とにかく読んでおかねばー!!って感じで、この機に一気読みしてみました。

そんで、

……う〜〜ん。

すげえや。

この読後感の違い。

「葉桜…」の方は、ミステリー小説らしくちゃんと?!殺人事件とかも出てくるのですが、これはもう、見事に最後までだまされちゃいました。
でも読み終わった後、だまされた事で尚更説得力をもつ、一種爽快な気分になります。
いっぱい人は死んでしまっていたけれど、いや〜な気分は残らない。
むしろ私なんかは元気をもらいました(笑)。

一方「イニシエーション・ラブ」、こちらは殺人事件など起りません。
誰も刃物を持った殺人鬼に追いかけられて怖い思いをするわけじゃあない。
確かに、心傷ついた人は、いたかもしれない。
でも、物語は最後の最後まで、80年代に青春期を過ごした人達のビタースィート恋物語。
途中でいつも最後までだまされる私が、犯人(だからいないって・笑)わかっちゃったんですけど☆と、なれたのも嬉しかった。
なのに
個人的には、読了感 最低。

さてさて、ここから軽くネタバレっぽい表現入っちゃいますので、これから読む予定の方はさけて通って下さいましね。。。







考えようによっちゃこれホラーですから。
最初から最後まで鈴木くん視点で、結局このマユって娘が、どういうつもりだったのかが一切わからないところが、またイヤすぎるでしょう(笑)。
まさに「白夜行」の雪穂に通じる不気味さであります。
で、さらに何が怖いって
ざらにいるんですよ、こういう女の子って。

意識して、これわかってやってる娘は、実は私きらいじゃないよ(笑)。
したたかに幸せに生きていくといいーー☆(笑)。

でも無意識で、これやって、綺麗な涙平気で流して生きて行く娘さんたちもけっこうな数いるわけでして。。。

ん〜。

まあ、それはそれで、したたかに幸せに生きていくといいさ☆(一緒かよ!)

そう言えば、昔の会社と同僚に、海外赴任になる時、時間差で成田空港まで二人の男性にお見送りをしてもらい、現地の空港には現地の彼が迎えにきていて、で、結局はその三人のどの人共違うエリート君と結婚した超美人さんがいたっけな。
なんかまさに鈴木くんの同期の石丸さんみたいな描写「さらさらの長い髪」「整った中にも知性がほの見える顔立ち」「魅力的なスタイル」「清楚でありながら野暮ったくないファッションセンス」がぴったりの美人なひとだった。
女おやぢは、彼女が男どもに働く悪行三昧(笑)を全部近くで見てたけど、それでも彼女が大好きだったの。だってほんとに綺麗な娘でさ〜、でれでれ ←こらっ☆
で、さらにすごいのが、彼女か赴任していなくなった後、同じ課の男子の中で彼女と結婚する気だったひと、彼女の事が本気で好きだったひと、が、わらわらと何人も現れた事。
で、みんな結構いつまでも彼女に対する未練をたらたらと引きずっていたりしていたすごい魅力というか魔力?。
いやあ、本当に、彼女はあっぱれ悪女☆って、感じでしたわ(笑)。

でも「イニシ…」のマユちゃんには、どうもこういうあっぱれ感が感じられないんだよね。
やってる事が、見えてる事実だけとってもエグい。妊娠のあたりとか。
…う〜ん、やっぱりホラーだわ。
そこの違いが、この重たい読後感に繋がっちゃうのかもしれない。

ともあれ、中々楽しませてもらえた二冊でした。
「葉桜…」の方は特に、たまにこれからも、最後の4行を読み返してみたくなるんじゃないかと思います。

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